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2021 · 05 · 06 (Thu) 20:30

右翼団体の街宣予定受け ドキュメンタリー映画上映中止

神奈川県厚木市の映画館「あつぎのえいがかんkiki」が、

右翼団体の街宣活動の予定を受けて、ドキュメンタリー映画の上映を

中止した。配給会社は近隣店舗への説明やスタッフの負担など

「劇場の事情を考慮した」と説明している。

映画関係者からは懸念する声も上がっている。

映画は、韓国人のキム・ミレ監督の「狼(おおかみ)をさがして」。

1970年代に三菱重工業本社などの連続爆弾テロ事件を起こした

「東アジア反日武装戦線」を追う。

3月下旬から各地で公開され、同館では5月8日から上映を予定していたが、1日に中止を発表した。

同館と配給会社「太秦」は連名で「上映中止の経緯」とする文書を公表。

厚木署から、8、9日に右翼団体が周辺で街宣活動をするとの連絡があった

として「騒音などで近隣住民や隣接店舗に迷惑をかけることは心苦しい」「見物人が密となり、新型コロナウイルス感染拡大が懸念される」と

理由を説明した。


連続企業爆破事件の犯行グループ

東アジア反日武装戦線は、1970年代前半、「日本帝国主義」の打倒を掲げ、

無差別爆弾テロを行った日本の武装集団である。組織というよりは、

“狼”、“大地の牙”、“さそり”といった名前を持つ小グループが、

共通の「反日思想」で結びついていた形態のようだ。

その思想は、爆弾の製造法や非合法活動の心得などとともに『腹腹時計』

(「都市ゲリラ兵士読本VOL.1」)なる小冊子にまとめられ、

74年3月に地下出版された。

これを執筆したのが、“狼”のメンバーで三菱重工爆破事件の主犯格として逮捕され、

死刑判決を受けた大道寺将司である。

48年、北海道・釧路に生まれた大道寺は、アイヌ居住区の近くで育ち、

差別を目の当たりにしたことで早くから政治意識に目覚め、

高校生で数々のデモに参加した。

その後、法政大学に入学して学生運動に本格的に取り組みながら、

思想を急進化させていった。

出発点には、強烈な自己否定がある。自身を「アイヌモシリ(アイヌ語で人間の大地)を侵略した植民者の末裔」と認め、その贖罪意識から「日本帝国主義の本国人」に対する

武装闘争の意義を確信していく。具体的なターゲットは、敗戦後に急速な復興を

成し遂げた日本経済の中枢。朝鮮戦争、ベトナム戦争を機にアジア進出を拡大していた

旧財閥系企業や大手ゼネコンだ。


ドヤ街での発見

そんな中、これに注目したのが韓国人のドキュメンタリー映像作家、キム・ミレだ。

韓国の観客に届けることを想定して、東アジア反日武装戦線の思想が生まれた背景と

その後を追いかけた。日本の観客にとっては、やや特異ともいえる視点から

出来事を見直す機会になる。

「韓国には、大企業が東南アジアに進出して、現地の労働力を搾取しているという

深刻な問題があります。国内でも食堂や農家などで外国人を安い労働力として

使っていて、彼らがいなければ経済が回らないほどです。時代が変わっても、

東アジア反日武装戦線が過去に投げかけた問題提起と共通するものがあるのではないかと思い、韓国社会に向けて、これを伝えたいと思いました」

とはいえ、監督が東アジア反日武装戦線について知ったのは、2000年代前半、

大阪の釜ヶ崎を訪れ、日本における日雇労働者の実態を取材したときだった。


狼のその後

大道寺将司は本作撮影中の2017年、多発性骨髄腫により収監中の東京拘置所で

亡くなった。キム監督が直接会うことは叶わなかったが、

拘置所の待合室まで面会者についていき、そこから彼の胸中に思いをはせたこともある。

「獄中で何を思って日々過ごしていたのだろうかと。重い病に冒されながら

俳句を詠んでいた彼の心情を、彼の立場になって考え、探っていきました。

彼は爆破によって犠牲者を出した過去を何度も思い返し、反省しています。

直接の対面はできませんでしたが、そういう人間的な大道寺将司に出会うことが

できたという実感はあります」



韓国の竹島問題、中国の尖閣諸島問題など深刻化している時代。

その時なにがあったか?伝えたい人。

過去と現在の問題を軽く見たくない人。

今回は、そんな意見の違いが産んだ騒動だと思います。

双方はおそらく話し合っても歩みよる事はないでしょう。

上映中止はやむをえないとしても、双方の意見の奥の深さを知ることは

貴重だと思います。



Last Modified : 2021-05-06

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